2026年4月22日、イタリアのボローニャで「第2回 GC-IMS ユーザーミーティング」が開催されました。
当イベントでは、GC-IMS(ガスクロマトグラフイオン移動度分光計)を活用した最先端の研究や実用化の事例が多数発表されました。GC-IMS技術が現在、いかに多様な分野で革新をもたらしているか、主要なトピックをピックアップしてご紹介します。
主な発表トピック:
1. 食品の真正性(オーセンティシティ)評価とスクリーニング
食品偽装の防止や品質評価において、前処理が少なく迅速なスクリーニングが可能なGC-IMSが大きな注目を集めています。
オリーブオイルの品質評価と不正検知
ボローニャ大学のTullia Gallina Toschi教授やICQRF(イタリア農業省品質保護・不正防止審査局)のStefania Carpino氏より、揮発性成分のプロファイルを利用したオリーブオイルの真正性確認や、官能評価を補完する客観的スクリーニング手法の開発が報告されました。
大手小売「COOP」でのAIを活用した品質管理
イタリア大手小売COOPのPietro Morozzi氏からは、自社ラボラトリーにGC-IMSを導入し、機械学習(AI)を用いて製品サンプルの真正性を迅速に判定している実運用例が紹介されました。
はちみつの植物的起源の特定
ヴェネツィア動物予防実験研究所のAlessandra Tata氏より、イタリア産はちみつの花の種類(単花蜂蜜)を特定するための非標的(ノンターゲット)分析への適用について発表がありました。
2. 「ボラティロミクス(Volatilomics)」の最前線と発酵プロセスの監視
ドイツ・マンハイム応用科学大学のPhilipp Weller教授からは、揮発性代謝物を網羅的に解析する「ボラティロミクス」の原理と最新応用について解説がありました。コーヒー豆の発酵や焙煎プロセスの監視、バイオテクノロジーにおけるリアルタイムでの発酵状態のモニタリングなど、複雑な香気パターンのデータ解析にGC-IMSが極めて有効であることが示されました。
3. 医療診断・ヒューマンボラティロミクスへの画期的な応用
GC-IMSの活躍は食品分野に留まりません。人間の尿や唾液などの生体試料に含まれる揮発性有機化合物を分析する医療診断への展開も報告されました。 ローマ・トル・ヴェルガータ大学のRosamaria Capuano氏は、尿のヘッドスペース分析を用いた肺がんの非侵襲的なスクリーニングや、唾液を用いた小児の好酸球性食道炎の疾患モニタリングなど、患者への負担が少ない画期的な診断アプローチを発表し、大きな関心を集めました。
4. 装置の新たなフロンティア(G.A.S.社)
製造元であるドイツG.A.S.社のThomas Worterman氏からは、GC-IMS技術の今後の展望について紹介がありました。よりユーザーフレンドリーなデータ解析ソフトウェアツールの充実化や、環境モニタリング、呼気分析などの新分野への適応拡大が進められており、技術の限界を押し広げる取り組みが強調されました。
まとめ
今回のユーザーミーティングを通じ、GC-IMSが単なる分析機器の枠を超え、機械学習やAIと強力に連携した「次世代のスクリーニング・診断プラットフォーム」へと進化していることが強く実感できました。品質管理の大幅な効率化や、これまでにない新たなバイオマーカーの発見に、GC-IMSは今後さらに貢献していくと期待されます。
【当日の様子を動画で公開中】
各講演のより詳細なプレゼンテーションや、現地の熱気を感じたい方は、主催のLab Service Analytica社が公開しているアーカイブ動画をぜひご視聴ください。食品分析から医療応用まで、GC-IMS技術の最新動向をより深く知りたい方にとって、大変有益な情報が満載です。
▶ YouTubeアーカイブ動画はこちら
https://youtube.com/live/gUVqslONnK8?feature=share
(※ほとんどがイタリア語のプレゼンですが、英語の字幕を選択してご覧いただけます。)
